わたしは一生に一度の恋をしました
 彼はわたしの言葉に頷いた。

「後は地図通りかな。君の家の場所だとこの道を通ったほうが近いみたいだし」

 わたしたちは学校への道を急いだ。学校はその道を真っ直ぐ行き、後三箇所曲がった先にあった。最後の角を曲がると、外国の建物を連想させる様式の建物が建っていた。建物の門にある表札を確認して胸を撫で下ろす。わたしの通う学校の名前だ。

「ありがとう」

 わたしの言葉に彼が微笑んでいた。彼の笑顔はわたしの胸を和ませる。不思議な雰囲気を持った少年だった。

「明日からはきちんと来れそう?」

「大丈夫」

 大きな一本道の続きは全てが舗装された道なので分かりやすそうだった。

 彼がわたしの言葉に見るものを満面の笑みを浮かべていた。

「良かった。僕の名前は高宮真一。よろしく」

 真一はわたしに手を差し出した。わたしは促されるようにしてその手を掴む。その手はわたしの手よりも関節一つ分大きく温かい手だった。

 もし人に陰陽があるならこの人は間違いなく陽の人間だ。彼の表情から明るさが漏れていた。大人しいわたしとしてはこういう人間がとても羨ましかったりする。

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