わたしは一生に一度の恋をしました
 隣に座っていたのは三島さんだった。驚いているわたしとは対照的に彼は普通にこの現状を受け止めていた。同じクラスというだけでなく、隣の席になるとは奇妙な縁だと自分で揶揄したくなった。

 ホームルームが終わると担任の先生は教室を出て行き、静まり返った教室が一気に騒がしくなった。わたしは隣に座っている三島さんに話しかけることにした。

「一週間の授業科目を教えて欲しいのだけど」

 三島さんはわたしを三秒間見つめると、わたしから目を逸らす。自分の生徒手帳を差し出した。

「今日は始業式のみで、明日は一日掛けてテスト」

「ありがとう」

 三島さんの手帳に書き写された時間割をノートに書き写す。そして、彼に手帳を返した。

 そのとき彼の名前と誕生日がチラッと見えた。そこには三島将という名と、三月十五日生書かれていた。三島さんは無表情でその手帳を受け取った。

 鞄を閉じたとき、わたしの体に二本の影が重なり合う。顔を上げると、そこには二人の女性が立っていた。彼女たちはわたしと目が合うと笑みを浮かべる。一人は小柄な子で髪の毛が短く、もう一人は隣に居る子よりも頭半分ほど背が高く肩の下まである髪の毛を伸ばしていた。
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