わたしは一生に一度の恋をしました
「もう終わったの?」

 わたしは千恵子さんの言葉に頷いた。

「本当、素っ気無い子ね。誰に似たのだか」


 わたしはその言葉に笑みを浮かべていた。千恵子さんとは性格はあまり似ていない気がした。

「でもまさかわたしと同じ歳の子供が居るとは思いませんでした」

「言ってなかった?」

 わたしは千恵子さんがわたしの家に来たときの会話を思い出し、頷いた。

「わたしも高校卒業後一カ月ほどで結婚して、早い段階であの子が産まれたの。だから、ほのかちゃんとも同じ学年ね」

 三島さんは三月生まれだと生徒手帳に書いてあった。だから、彼女の言葉にも納得がいった。

「旦那さんとはどこで出会ったんですか?」

「わたしのお父さんの部下で、よく家に遊びに来ていたのよ。大学を卒業してからという選択肢もあったけど、早くあの人の家族になりたかったの。って、ういう話は照れくさいわね」

 千恵子さんは髪の毛をかきあげると、苦笑いを浮かべた。
 頬を赤らめた彼女を見て、可愛いと思ってしまっていた。

「三島、くんは子供のころからあんな感じだったんですか?」

「そうね。昔は今より少し愛想はあったかな? アルバム見る?」

「見てみたいです」

「待っていて。持ってくるわ」
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