わたしは一生に一度の恋をしました
 わたしはその手紙を読んで思わず涙が溢れてきそうになった。手紙の様子からがわたしを嫌っているどころか、迷惑そうな素振りさえもなかった。

「だからそんなこと気にするなよ」

 三島さんの言葉に頷くと、涙が自然と溢れてきた。

 なぜお母さんが生きている間にもっと親孝行しなかったのだろう。もっといい娘でいればよかった。

「でも良く考えると、これってすごく親バカじゃない? 千恵子さんにはものすごく迷惑かけたよね」

 三島さんはわたしの言葉に苦笑いを浮かべていた。

「あの人はそんなこと考えないよ。お前のことも実の娘みたいだって言っていたからな。娘の様子を伝えてきてくれているみたいで嬉しいらしい。このアルバムだって、機会があったらお前に見せてくれと頼むぐらいだよ。その機会がなかなかなくて常に持ち歩く羽目になったのだけど。お前が自分で自分のことを母親の荷物だったのではないかと気にしているのではないかと思っていたらしい」

 わたしはお母さんが死んで一人だと思っていた。だが、おばあちゃんや千恵子さん、三島さんがこうやって励ましてくれる人がいて、自分が一人ではないと思い知った気がする。

「こうやって心配してくれる人がいるわたしって幸せものだね」


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