わたしは一生に一度の恋をしました
 お寺の門をくぐると、真一をお墓まで案内した。
 いつもは三島さんと一緒に帰るが、今日は真一と一緒に帰ると言ったら、それ以上は追及されなかった。

「ここだよ。わたしのお母さんの墓」

 真一はお母さんの墓の前で両手を合わせると、目を閉じた。真一は合わせていた手を離すと、寂しそうな笑みを浮かべていた。いつもの真一とは若干違う印象を受けた。

「お母さんってどんな人だった?」
「優しくて強い人だったよ」
「そうだよな。ほのかを見ているとそう思う」

 真一は褒めているのだろう。だが、彼の浮かべている表情を見ているとやるせない気持ちが胸に湧き上がってきた。

「何かあったの?」

 わたしの言葉に真一は首を横に振る。だが、その表情が悲しみに堪えているようだった。

「ほのかは掃除して帰る?」

「そうだね、折角だから」

 真一はいつものような明るい笑顔を浮かべていた。だが、やはりその笑顔には元気がないように思えた。

「手伝いたいけど今日は用事があるから先に帰るね。その代わり将を呼んでおいたからすぐに来ると思うよ」

「どうして?」
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