わたしは一生に一度の恋をしました
 真一は唇を噛み締めた。

「今日、森に居た。正確にはあの森は僕の祖父のものであそこに小屋があって、よく遊び場にしていたんだ。それで話し声が聞こえるからって行ってみたらほのかたちがいた」

「話を聞いたの?」

 わたしの心拍は自然に速くなっていき、息苦しさを感じていた。わたしはあのような場所で浅はかに会話をしていたことを悔やんだ。

「あれって本当の話?」

 わたしは問い詰められ、困っていた。本当のことを話すべきか、それともごまかすべきか。

 だが、真一には嘘を吐きたくなかった。

 わたしは頷いた。

 真一を見ると、真一は驚いたように目を見開いていた。彼は相当のショックを受けただろう。まさか自分の父親も自覚がないとはいえ子供がいたのだ。それも自分たちよりも年上の子供だ。

 もう彼と今までのように話をすることは出来ないのだろうか。

 わたしは今までの彼とのやり取りを思い出し、唇を噛んだ。


 だが、真一はわたしの予想に反して笑顔を浮かべていた。

「今まで分からなかったことが分かった気がしたよ。教えてくれてありがとう」

「ありがとうって、だってわたしは」
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