また明日、空の向こうで。

「…出来たよ」



「ん。じゃあ送るから」



ぴこんっ




と通知がなる。



“久瀬 亮太 さんから1件メッセージです”



「きた?写真」



「きたよ、写真」



手元にきたその空はやっぱり真っ赤で。



少し幸せな気分になれた。



他にも見たい、と言おうとしたその時。



ピ-ンポ-ンパ-ンポ-ン


『新入生の方に連絡です。』



『間もなく見学終了時間となりますので、校内に残っている人が居ましたらお帰りいただくようお願い致します。』





「…そういや、時間」




「忘れてた、帰らなきゃ」




今日はまだ入学前だから5時までだと説明されていたのにすっかり忘れていた。



折角見せてもらおうと思ってたのに。



そんなふうに残念がっているあたしに気づいているのかいないのか




「じゃあ、今日はこれでお開きだな」



と、久瀬くんはは言う。




「うん、そうだね」




名残惜しさを押し込めて



ばいばい、と手を降って屋上を出た。




「同じクラスだといいな、久瀬くん…」




ぽつり、そう呟く。




そんなあたしの呟きは、




いつの間にか誰もいなくなっていた廊下に吸い込まれていった。
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