グレイラブソング
「続いては、今日の天気です。今日は、午前中は晴れ間が見えそうですが、午後からは寒波の影響で雪になるおそれがあります。お出かけの際は、十分に気を付けて、防寒対策をしっかりしてください。」
テレビ画面の中では、丁度、今日の天気予報を伝えている。
「今日は雪か...。」
ただでさえ、気が進まないのに、雪なんかが降ってしまうと考えると、余計憂鬱になる。それでも働きに出ないと、僕は明日の食料もない状態になってしまうので行くしかない。僕は萎えている自分の気持ちをどうにか奮い起こして、食事を済ませ、いつも通り洗い物をすると、そのままそこで顔を洗った。
「今日の星座占い第一位は、蟹座のあなた!長年の悩みが解消されるかもしれません!ラッキーカラーは赤!第二位は...。」
水道から流れる水の音の隙間から、テレビの音声が聞こえてくる。七月産まれの僕は、今日の運勢はどうやら一位らしかった。けれど、そんなことはどうでもいい。なぜなら、神様などいないからだ。神様がいるのなら、僕みたいな人間や、その他大勢、生まれたきた意味もわからない、そんな不幸な人間を作らなかったはずだ。だが、現にこうして僕はこの世界に存在している。それは逆説的に、神様の存在を否定しているのと同様だ。
そんなことを頭の中で、一体誰に熱弁しているのかわからないが、結局少しも気にしないでいられるほど僕は大人ではないので、赤いタオルを持って出かけることにする。
外に出ると、強烈な寒さが僕の肌を襲う。今日は寒波だって言っていたっけ。そう思いながら自転車にまたがり、バイト先へと向けてハンドルを切った。
バイト先の飲食店までは、自転車で十分ほど。全国に展開している人気ファストフード店。その賑わいは、なかなかのものである。加えて今日は休日。忙しいであろうことは、目に見えていた。はあ。僕は人の気配を感じない裏通りを進みながら、大袈裟にため息をついた。たくさんの家々に囲まれた通りを直進すると、大きな国道に出る。その国道沿いに、飲食店はある。
バイト先に着くと、指定されている場所に自転車を駐車して、事務所へと向かう。いつもなら一度厨房に行って、事務所の鍵を取ってこなければならないのだが、今日はその必要が無い。ここに来る時に、事務所へと誰かが向かっているところが目に入ったからだ。
予想していた通り、事務所の鍵は既に開けられていて、僕はすんなりと中に入ることができた。しかし、中にいる人物は、僕を多少なりとも驚かせた。
「よお。」
「なんだ、五十嵐じゃん。珍しいね、こんな朝から。」
五十嵐は、バンドの活動費を稼がなければならないらしく、最近僕と同じバイト先に入ってきた。とは言っても、彼は僕のように許可などは得ておらず、無断。つまり、れっきとした校則違反だ。
「まあ、たまにはいいだろ。今日は暇だったんだよ。」
「今日は何時から何時?」
「八時から一時。お前は?」
「八時から十二時と、一時から五時。途中まで一緒だね。」
一日あるのか、大変だな。彼はそう言って、視線を壁にかけられている時計に移す。僕の視線も、つられてそれを追う。時刻は七時四十分。仕事が始まるまでには、あと二十分ほどある。
テレビ画面の中では、丁度、今日の天気予報を伝えている。
「今日は雪か...。」
ただでさえ、気が進まないのに、雪なんかが降ってしまうと考えると、余計憂鬱になる。それでも働きに出ないと、僕は明日の食料もない状態になってしまうので行くしかない。僕は萎えている自分の気持ちをどうにか奮い起こして、食事を済ませ、いつも通り洗い物をすると、そのままそこで顔を洗った。
「今日の星座占い第一位は、蟹座のあなた!長年の悩みが解消されるかもしれません!ラッキーカラーは赤!第二位は...。」
水道から流れる水の音の隙間から、テレビの音声が聞こえてくる。七月産まれの僕は、今日の運勢はどうやら一位らしかった。けれど、そんなことはどうでもいい。なぜなら、神様などいないからだ。神様がいるのなら、僕みたいな人間や、その他大勢、生まれたきた意味もわからない、そんな不幸な人間を作らなかったはずだ。だが、現にこうして僕はこの世界に存在している。それは逆説的に、神様の存在を否定しているのと同様だ。
そんなことを頭の中で、一体誰に熱弁しているのかわからないが、結局少しも気にしないでいられるほど僕は大人ではないので、赤いタオルを持って出かけることにする。
外に出ると、強烈な寒さが僕の肌を襲う。今日は寒波だって言っていたっけ。そう思いながら自転車にまたがり、バイト先へと向けてハンドルを切った。
バイト先の飲食店までは、自転車で十分ほど。全国に展開している人気ファストフード店。その賑わいは、なかなかのものである。加えて今日は休日。忙しいであろうことは、目に見えていた。はあ。僕は人の気配を感じない裏通りを進みながら、大袈裟にため息をついた。たくさんの家々に囲まれた通りを直進すると、大きな国道に出る。その国道沿いに、飲食店はある。
バイト先に着くと、指定されている場所に自転車を駐車して、事務所へと向かう。いつもなら一度厨房に行って、事務所の鍵を取ってこなければならないのだが、今日はその必要が無い。ここに来る時に、事務所へと誰かが向かっているところが目に入ったからだ。
予想していた通り、事務所の鍵は既に開けられていて、僕はすんなりと中に入ることができた。しかし、中にいる人物は、僕を多少なりとも驚かせた。
「よお。」
「なんだ、五十嵐じゃん。珍しいね、こんな朝から。」
五十嵐は、バンドの活動費を稼がなければならないらしく、最近僕と同じバイト先に入ってきた。とは言っても、彼は僕のように許可などは得ておらず、無断。つまり、れっきとした校則違反だ。
「まあ、たまにはいいだろ。今日は暇だったんだよ。」
「今日は何時から何時?」
「八時から一時。お前は?」
「八時から十二時と、一時から五時。途中まで一緒だね。」
一日あるのか、大変だな。彼はそう言って、視線を壁にかけられている時計に移す。僕の視線も、つられてそれを追う。時刻は七時四十分。仕事が始まるまでには、あと二十分ほどある。