送り主のない手紙




思わず手の水滴を振ってはじいて、恐る恐る白い手紙に手を伸ばす。


手に掴んだ手紙は少し厚みがあって、紙独特のざらりとした手触りだ。


目の前に掲げ、裏っかえしてみるとマンションの住所に201号室と書かれていて、切手が貼られてあった。



「……」



じっと真っ白な手紙を見つめ、私は踵を返して部屋へと急いだ。



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