物語はどこまでも!
『むかーし、むかし。
あるところに、ーーーーがいました。
ーーは、さびーーやです。
だから、わたしがーーす。
ーーりはバーーしましたが、
すぐにーーました。
なので、ーーでしあわせにくらーーたとさ。
めでたしめでーー。』
クレヨンで書いたためか、ところどころの文字がかすれて読めない。自分で書いた創作の話に違いないけど、これのどこが『たからもの』と思えたのか、今となっては時の忘却の彼方に呑まれている。
この紙を捨てずに取っているのは単に、『たからばこ』の中に入っているからに過ぎないものだ。
「だけど……」
大切なものなんだと、心のどこかで思ってしまう。そうしてまた、破れないよう丁寧に折り畳み、もとの場所にしまうんだ。