小さな愛の形
結局、僕は彼女のお願いに付き合うことになった。

彼女があれほど付き合って欲しかったものとは…



買い物だった。

男の僕としては、あまり理解は出来ないが、付き合うと言ってしまったのだ、もう後戻りは出来ない。

まず、最初に本屋さんへ足を向けた。

僕も本を読むので、本屋さんへ行けるのは嬉しかった。

最近行けてなかったので、僕の知らない新刊が色々と並んでいた。

ふと、一冊の本に目が止まった。

表紙の絵がとても綺麗で、思わず手に取ってしまった。

内容は、独りの少年が明るい少女と恋に落ちる話し。

表紙の桜がとても綺麗だった。

「何、その本?」

彼女が僕の持っている本を除き込んできた。

「気に入ったの?」

「…うん。」

僕は、その本を買った。きっと、表紙の絵だけでなく、タイトルも気に入ってしまったのだろう。

彼女の方を見ると、沢山の本が山積みだった。

「…そんなに読むの?」

「えっ?これくらい普通じゃない?」
と平然そうな顔をした彼女を見て、僕は少し恐ろしくなった。

それ程までに読める事が、凄いことでもあったが、まず買うお金があるのだろうか。

そんな心配をした僕だったが、どうやら僕が考えている間に、お金を払ってしまったようだ。

彼女は無駄に僕を急かした。ゆっくり考えたいのだが…

結局彼女に急かされて、僕は一冊しか買わなかった。

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