アウト・サイド
「…ユキ、大丈夫ですか?」
地面に座り込む私に、真っ黒な瞳が覗き込む。
ガイコツに大丈夫かと言われるのも、なんだか不思議な感覚だ。
私はゆっくりと立ち上がって、呼吸を落ち着けた。
「ありがとう、カルラ…」
「あなたらしくありませんね。狩人に付け込まれる隙を作るとは。気をつけてください。幾ら"約束"があったとしても、彼らが番人に手を出さないという保証はないのです」
「うん。分かってる。気をつけるわ」
噴き出す汗をスーツの袖で拭っていると、カルラがハンカチを差し出してくれた。
ピンク色のタオル地で、お花の刺繍がされている。
ハンカチの角には、ローマ字で「YUKI」と赤い刺繍がされていた。
カルラの趣味は刺繍なのだ。
ガイコツがチクチクハンカチを縫っているところを思うと、とてもおかしい。
「丁度、あなたにプレゼントする予定でした。使ってください」
「ありがとう」
ハンカチを受け取ると、にっこりと微笑んで私はカルラを見た。
もし、彼に表情があれば、きっと同じように微笑み返しているはずだ。
「ユキにお話があるのですが、少しよろしいですか?」
「うん?」