アウト・サイド


「次のリリースは、○○病院。15時04分、雨宮晴斗22歳男性。死因は…頭部強打による脳出血ね」

ビルの外に出た私は、次のリリース場所を確認するべくプリントを取り出して呟く。
そして立ち止まり、目を閉じて住所を思い描いた。

目を開けると、そこは既に○○病院だった。
さすがに電車やバスで移動することはない。
私たちには現実的なところと、そういう特殊なところがあるのだ。

病院のフロアは、なかなか混み合っていた。
急に病院に姿を現した私を、不審に思うものは誰もいない。
今私の姿を目視できるのは、死者か霊能者ぐらいだろう。

時計を確認すると、臨終の5分前だった。

私は雨宮晴斗のいる病室へと向かった。

病室の前には、中年男性の医者と家族が数人集まっていた。
医者から彼の死が近いことを知らされたのだろう。

皆、絶望的な表情をしていて、母親と思われる女性は今にも倒れそうなのを、夫に支えてもらっている。

私は彼らを横目に病室の中へ入った。

そこは個室で、とても日当たりのいい部屋だった。
横たわる若い男性の体には、いくつもの管が取り付けられ、心音が不安定だった。

心停止まであと2分。

私は静かに彼の死を見守った。
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