アウト・サイド

外に出ると、夏の予感を感じる生暖かい風が吹いてきた。
仕事帰りのサラリーマン達が、そろって夜の街へ消えていく。

車の走る音。
人の話し声。
どこからか聴こえてくる音楽。
光り輝くネオン。

サイクルの中で生きる者たちは皆、動いている。
風も、花も、木も、鳥も、虫も、"物"さえも、皆それぞれ生命の時を刻んでいる。

どこから生まれて来たのか、いつ消えていくのかもわからずに、ただサイクルの均衡を見守る私たち。

サイクルに弾かれた、生きも死にもしない存在。

皆、口にはしないけれど、心には大きな孤独を抱えている。

番人は、生前に何か罪を犯してサイクルの外に弾かれたと言うものもいる。

その罪を償うために、番人としてサイクルを見守っていると。


ーーなあ、生きるって、どんな感じかな。


懐かしい声が頭の中にこだまする。


私はしばらく、夜の街を彷徨っていた。



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