君と、ゆびきり
背筋に寒気を覚え、あたしは大きな声で風を呼んだ。


どこ?


どこにかくれているの?


それでも風は出てこない。


返事もない。


「かくれんぼは終わりにしようよ!」


あたしがそう言った瞬間、目の前に風が現れた。


暗闇の中でもわかる、真っ白なパジャマを着た風。


しかし、その顔だけ見る事ができなかった。


「風……?」


あたしはそっと手を伸ばす。


もう病室へ戻ろうよ。


そう言いかけた言葉がひっこんでしまった。


風の顔は、暗闇の中でも更に真っ黒に染まっていて、触れれば闇に引きずり込まれてしまいそうだったから……。
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