君と、ゆびきり
ゆびきり
あたしは病院にいた。


消えてしまいそうな記憶を手繰り寄せる。


明日は中学の入学式だ。


そう思うと同時に、メマイを感じた。


こめかみを押さえると、中学の入学式の様子が蘇って来る。


チアキによれば150回も繰り返した入学式。


よし、今回はちゃんと覚えてる。


頭を強く振ってメマイを追い払うと、あたしは歩き出した。


真っ直ぐ進み、風の病室までやってくる。


3回ノック。


2回ノックが帰って来る。


1回ノック。


そしてドアを開ける。


ベッドの上に座った風がこちらを見て笑っていた。
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