君と、ゆびきり
「おはよう風」



あたしは仏頂面でそう言い、風のベッドに腰掛けた。


「おはよう千里。今日は通院日?」


「そうだよ」


あたしは頷き、花瓶に飾られているピンクの花を見つめた。


なんて名前の花かわからないけれど、可愛い花だ。


「明日は入学式?」


「そうだよ」


あたしは同じように返事をした。


「風は……」


そこまで言うと、風は左右に首を振った。


風とあたしは同じ学区に家がある。


だからなんの問題もなければ同じ中学に通えるはずだった。


だけど、風はこの病院に隣接している特別学級で勉強を続ける。


「そっか」
< 106 / 226 >

この作品をシェア

pagetop