君と、ゆびきり
女子力が低いとか高いという言い形はあるけれど、そもそも女子力が存在していたという事に驚くとはどういうことだ。


「いらないなら返してくれる?」


元々これは自分が忘れないために作ったんだ。


風が付けている必要はない。


そう思って指輪を奪い返そうとすると、風は慌ててあたしから身を引いた。


「冗談だよ千里。へぇ、すごく綺麗だな」


風はそう言い、指輪を太陽の光に透かしてみている。


そんなふうにマジマジと見られると、なんだか照れて来てしまう。


「もう、指輪なんだからつけなきゃ意味ないでしょ」


あたしはそう言い、半ば強引に指輪を奪うと、風の小指にはめた。


そして、自分の小指を風の小指に絡める。


互いの指輪がキラキラと輝いている。


「ありがとう千里」


風がそう言い、あたしの頬にキスをしたのだった。
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