君と、ゆびきり
☆☆☆
夢を見ていた。
それは確かに夢だったのだけれど、いつかあたし自身が経験したことであると、覚えていた。
「千里ちゃん、久しぶり」
そう声をかけてくれたその子の顔はボヤケていて良く見えなかった。
けれど懐かしい声。
中学まで一緒に通っていた友達の声だと、あたしはすぐに気が付いた。
「久しぶり!」
高校が別々になって会える機会は減っていたけれど、年に数回は一緒に遊んでいた友人だ。
「ねぇ聞いてくれる?」
彼女は少し声のトーンを落としてそう言った。
表情は見えないけれど、真剣な顔をしているんじゃないかとわかった。
「なに?」
「あたしの通っているクラスでね、不登校の子がいるの」
「不登校……?」
あたしは彼女の言葉に聞き返した。
そんな難しそうな話をされても、自分にいい返事ができるかどうかわからない。
だけど彼女は話を続けた。
「その子ね、ずっと体が弱くてね」
途端に彼女の声が遠くに聞こえ始めて、あたしはとまどった。
夢を見ていた。
それは確かに夢だったのだけれど、いつかあたし自身が経験したことであると、覚えていた。
「千里ちゃん、久しぶり」
そう声をかけてくれたその子の顔はボヤケていて良く見えなかった。
けれど懐かしい声。
中学まで一緒に通っていた友達の声だと、あたしはすぐに気が付いた。
「久しぶり!」
高校が別々になって会える機会は減っていたけれど、年に数回は一緒に遊んでいた友人だ。
「ねぇ聞いてくれる?」
彼女は少し声のトーンを落としてそう言った。
表情は見えないけれど、真剣な顔をしているんじゃないかとわかった。
「なに?」
「あたしの通っているクラスでね、不登校の子がいるの」
「不登校……?」
あたしは彼女の言葉に聞き返した。
そんな難しそうな話をされても、自分にいい返事ができるかどうかわからない。
だけど彼女は話を続けた。
「その子ね、ずっと体が弱くてね」
途端に彼女の声が遠くに聞こえ始めて、あたしはとまどった。