君と、ゆびきり
自由の利かない人たちでもみんなで見る事の出来る最高の場所。


会場の近くで人にもみくちゃにされながら見る花火とは、また違う楽しさがあるに違いなかった。


「なんだか、結局たいした予定じゃないね」


せっかく遠出ができるかもしれないと思ったけれど、結局は近所の花火になってしまたことが申し訳なくなる。


けれどあたしたち中学1年生だ。


遠くまで行くのにも限度があった。


「そんなことないよ」


風がそう言い、あたしの手を握った。


その小指に光るビーズの指輪。


「今年はずっと千里と一緒にいられる。それってすごいことだよ」


風はそう言い、ほほ笑んだ。


そんなクサイセリフを恥ずかしげもなく言う風に、あたしの方が恥ずかしくなって視線を逸らせた。


それに気が付いた風はクスクスと笑う。


風は時々あたしが照れることを知っていながらクサイ事を言う。


案外イジメっ子気質なのかもしれない。
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