君と、ゆびきり
「あたしが、なに?」


嫌な予感と同時に怒りに似た感情が込み上げて来て、あたしは風の手を強く握った。


「嫌なら、いいから」


風は言葉の続きを濁すようにそう言った。


は?


なにそれ。


「嫌って、なにが?」


知らず知らずの内に口調がきつくなっていた。


風が言いたいことの意味がシッカリと伝わってきてしまったからだ。


「だから俺、告白しなかったのに」


今度はとても小さな声で、ボソボソとそんな事を言う。


つまり風はこう言いたいのだ。


自分と付き合うことであたしが楽しめていないのなら、別れてもいいと。


なんだそれ。
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