君と、ゆびきり
青にそう聞かれて、あたしは左右に首を振った。


「そういうんじゃなくて、ゆびきりしたから……」


あの時の出来事はあたしにとってとても特別な出来事だ。


あのゆびきりが、あたしを奇妙な世界に引き込んだ。


それはあまり人に話したくない事でもあった。


「それってさ、奴隷契約?」


青の言葉に誰もが言葉を失った。


あたしは呼吸まで止めてしまっていた。


「は? 何言ってんの?」


そう言ったのは玲子だった。


怒気をはらんだ声。


「いや、昔指輪は主人の奴隷だっていう証拠として使われていたんだよ」


「昔はって……今はそんな意味ないでしょ?」


「そっか。そうだよね」


青はポリポリと頭をかいてそういった。


だけど、やっぱりなにか納得できていない様子だ。


「青、さっきから何が言いたいの?」


玲子が更に言葉を続ける。
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