君と、ゆびきり
公園内は険悪なムードに包まれつつあった。


「だってさ、これじゃ勝ち目がないだろ?」


青はそう言い、風を見た。


風は瞬きを繰り返して青を見ている。


「勝ち目って……?」


誰かがそう呟いた。


「ライバルは病人だなんて、俺はなにもできないまま白旗をあげるしかないってこと」


「青、あんたいい加減にしなさいよ!」


玲子が青の胸倉をつかみそうな勢いで詰め寄る。


あたしは慌てて玲子と青の間に割って入った。


青は、151回目でもあたしの事を好きでいてくれたんだ。


そう分かると、少しだけ胸が締め付けられた。


何度繰り返しても青の気持ちが変わる事はなかった。


それなのにあたしは……あたしは今、青の事を好きだと思えなくなってしまっていた。


今のあたしは、風の事が一番大切だ。
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