君と、ゆびきり
「海は潮水だってことは知ってるよね?」


「もちろん、知ってるよ」


「海の風は潮水が混ざった風になるんだよ」


「それは嘘だろ?」


「本当だよ。海に近づくと風に香りが変わるから、すぐにわかるの」


そう説明しても、風はまだ疑っているような表情を向ける。


「本当に?」


「本当だよ。ねぇ風、海の風を感じてみたくない?」


「……感じてみたい」


風がおずおずとそう言った。


あたしはその言葉にニッコリとほほ笑む。


「じゃぁ、日程を決めないとね!」


あたしはそう言い、風の体に抱き着いたのだった。
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