君と、ゆびきり
「入るわよ?」


あたしの声を聞いたお母さんが心配そうな表情を浮かべて部屋に入って来た。


「あんた、少し顔が赤いんじゃない?」


そう言い、あたしの額に手を当てるお母さん。


洗い物でもしていたのか、その手は冷たくて心地よかった。


「そうかも。でも今日はテスト返却だけだから学校に行かなきゃ」


「そう? それならよく効く薬を飲んでいきなさい」


「うん、わかった」


あたしは頷くと、重たい体を動かして制服に着替え始めたのだった。
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