君と、ゆびきり
☆☆☆

「俺、千里と同じ高校に行きたい」


風が突然そんな事言い出したのは、夏休みが終わる直前だった。


あの日から一歩も外へ出られていない風からの、いきなりの告白だった。


「へ……?」


「千里は春ケ丘高校を受験するんだろ?」


「う、うん」


あたしは驚いたまま頷いた。


「それなら、俺もそこを受験する」


「え、でも……」


あたしは思わず風から視線を逸らせてしまった。


150回目まで風がそんな事言った事はなかった。


たしか、風が受験したのは隣の高校だったはずだ。


そこで、ふと思い出した。


そう言えば他校に入学した友人が、入学早々来なくなった生徒がいると言っていなかったっけ?


あれはもしかして、風のことだった?
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