君と、ゆびきり
「こうして3人で登校する日が来るなんて思ってなかったし」


玲子の言葉にあたしは頷いた。


その通りだった。


こんな未来が来るなんて思っていなかった。


あたしの部屋に飾られている風の写真も数えきれないほどになっている。


今まで風の事を忘れてしまっていたことが、夢のようだ。


「千里のおかげだ」


風が呟くように言ったので、あたしは「え?」と、聞き返した。


「病院にいる俺の事を忘れずにずっと一緒にいてくれた」


その言葉に心臓がドクンッと大きく跳ねた。


「千里が風の事を忘れるわけないじゃん」


玲子が軽口を言う。


「そうかもしれない。でもさ、それって全然当たり前の事じゃないだぞ?」


「どういう意味?」


玲子が聞く。
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