君と、ゆびきり
「病院ってのは病気じゃなくなると来なくなる場所だ。
小さい頃に一緒にいた友達もどんどん退院して行った。最初の内はお見舞いに来てくれたりするけれど、その内自分の生活が忙しくなってきて、来る回数は減って来るんだ。そして俺の事は忘れていく」
風の言葉があたしの胸に重たくのしかかって来る。
風の事を忘れてしまっていたのはあたしだけじゃかったんだ。
今まで何人の人たちが病院に残っている風の事を忘れていったんだろうか。
「だけど、それは悪い事じゃないと思ってる」
「え?」
あたしは風の言葉に聞き返した。
「幼稚園も保育園も、小学校も中学校も、もちろん高校だって、みんな卒業していくもんだろ? 病院だって同じだ。
ちゃんと卒業して、時々思い出して懐かしむくらいがちょうどいいんだ」
それはまるで、あたしに言ってくれているかのような言葉だった。
忘れられる事は悲しいはずなのに、風は微塵にもそんな表情を見せない。
小さい頃に一緒にいた友達もどんどん退院して行った。最初の内はお見舞いに来てくれたりするけれど、その内自分の生活が忙しくなってきて、来る回数は減って来るんだ。そして俺の事は忘れていく」
風の言葉があたしの胸に重たくのしかかって来る。
風の事を忘れてしまっていたのはあたしだけじゃかったんだ。
今まで何人の人たちが病院に残っている風の事を忘れていったんだろうか。
「だけど、それは悪い事じゃないと思ってる」
「え?」
あたしは風の言葉に聞き返した。
「幼稚園も保育園も、小学校も中学校も、もちろん高校だって、みんな卒業していくもんだろ? 病院だって同じだ。
ちゃんと卒業して、時々思い出して懐かしむくらいがちょうどいいんだ」
それはまるで、あたしに言ってくれているかのような言葉だった。
忘れられる事は悲しいはずなのに、風は微塵にもそんな表情を見せない。