君と、ゆびきり
告白
それは夕暮れ時だった。


風に教えてもらいながらも勉強は、学校で教わるよりももっとわかりやすくて身になった。


「風は学校の先生にもなれるんじゃない?」


「本当に?」


あたしの何気ない言葉に風の表情が明るくなる。


「うん。だってすごく頭いいし、教え方もわかりやすいし」


「そっか……」


風は頬を赤くして嬉しそうにほほ笑んでいる。


「もしかして風の夢って……?」


「小学校の先生」


照れながらそう言う風に、あたしは目を見開いた。


風の夢の話を聞くのは、これがはじめ他の事だった。


「そうだったんだ?」


「あぁ。入院してたら小さな子たちと関わる機会がたくさんあるんだ。


その中にはロクに勉強する時間もなく、ずっと治療を受けている子もいる。そんな子たちに少しでも勉強を教えてあげたいなって、ずっと思ってたんだ」


風は頬を染めながらも、真剣な表情でそう語った。


風はずっと病院で勉強をしていた。


だからそれがそのまま夢になったんだろう。
< 189 / 226 >

この作品をシェア

pagetop