君と、ゆびきり
「すごく素敵な夢だね」


あたしは心からそう思った。


風が沢山勉強をしている理由も、よくわかった。


「千里の夢は?」


そう聞かれて、あたしは言葉に詰まった。


風の表情が一瞬にして曇る。


「お医者さんは?」


そう聞かれても、返事ができなかった。


あたしの夢。


あたしの夢?


そんなのあったっけ?


「たぶん、お医者さんで合ってると思う……」


あたしは自信のない声でそう言った。


「もしかして、千里が医学を勉強してるのは俺のためだけ?」


「ううん、違う。そうじゃないけど……」
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