君と、ゆびきり
「風、聞いて? あたしたち、ゆびきりをしたよね?」


あの時の事を思い出す。


2人きりの入学式。


2人きちの学校。


すべて空想の話だった。


一緒に卒業しようね。


そしてあたしたちはゆびきりをした。


「あたし、あの約束を果たせなかった」


「え……?」


風が首を傾げた。


あたしの言葉の意味がわからないみたいだ。


だけどあたしは説明を続けるしかなかった。


信じてもらえるかどうかなんてわからないけれど、誤解されたままじゃ嫌だった。
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