君と、ゆびきり
「まぁね。昨日の夜、少し熱が出た」


「そっか……。今日は修学旅行のお土産を持ってきたんだよ」


あたしはそう言い、紙袋の中からお菓子を取り出した。


北海道で有名な《白い恋人》だ。


「定番だね」


風はそれを受け取り、ほほ笑んだ。


しかし、そのほほ笑みはすぐに消えて行ってしまった。


「風、今日は少し疲れてる?」


顔色もあまりよくないように見える。


「あぁ……まだ微熱があるのかもしれない」


そう言いながら上半身を起こそうとするので、あたしは慌ててそれを制した。


「それなら無理しなくていいよ。今日はあたしももう帰るから」


本当はもう少し風と一緒にいたかったけど、無理をさせるつもりはなかった。


なにより、話をするだけで口がとっても重たそうに見えるのだ。


風の筋肉は確実に衰えてきている。
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