君と、ゆびきり
☆☆☆

3月1日。


春ケ丘高校の卒業式が来た。


あたしはぼんやりとする頭で、ぼんやりしながら歩いて行く。


途中で玲子と合流して、空を見ながら歩いて行く。


風の顔を思い出す。


目を閉じて、声をかけても反応がなかった風。


あたしはあの後両親が迎えに来てくれて家に帰ったから、風がどうなったのかまだ知らなかった。


風の両親からも、病院からも連絡はない。


「千里」


玲子に声をかけられてハッと我に返ると、あたしは卒業証書を持って校門の近くに突っ立っていた。


一瞬、昨日風と一緒に作った卒業証書かと思ったが、それは春ケ丘高校のものだった。


いつの間に卒業式が終わったんだろう?


あたしは強く頭を振った。


ぼんやりしていて、記憶は断片的にしか残っていない。
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