君と、ゆびきり
☆☆☆
あたしは涙をひっこめるため、1人で屋上庭園に来ていた。
相変わらず綺麗に手入れをされていて、1日中ここにいても飽きないくらいだ。
「150回目まで新薬なんてできなかった。風も、千里の卒業式の日に息を引き取っていた」
チアキの声が聞こえてきて、あたしは振り向いた。
鯉の池の前にチアキが立っている。
が、その体は透けていて、向こう側の景色が見えている。
「チアキ……」
「千里が願って、千里が未来を変えたんだよ」
「なんだか、それって独りよがりっぽいね」
そう言うと、チアキは笑った。
「その独りよがりが1人の少年を救って、新薬を開発させた。それってすごい事だと思う」
そう言うチアキの体はどんどん薄くなっていく。
「チアキ?」
「千里にとって、あたしはもう必要がないから。だからあたしは消えることになる」
「そんな……!」
あたしはチアキに手を伸ばした。
その手は何にも触れることなく、チアキの体を通り抜けてしまった。
あたしは涙をひっこめるため、1人で屋上庭園に来ていた。
相変わらず綺麗に手入れをされていて、1日中ここにいても飽きないくらいだ。
「150回目まで新薬なんてできなかった。風も、千里の卒業式の日に息を引き取っていた」
チアキの声が聞こえてきて、あたしは振り向いた。
鯉の池の前にチアキが立っている。
が、その体は透けていて、向こう側の景色が見えている。
「チアキ……」
「千里が願って、千里が未来を変えたんだよ」
「なんだか、それって独りよがりっぽいね」
そう言うと、チアキは笑った。
「その独りよがりが1人の少年を救って、新薬を開発させた。それってすごい事だと思う」
そう言うチアキの体はどんどん薄くなっていく。
「チアキ?」
「千里にとって、あたしはもう必要がないから。だからあたしは消えることになる」
「そんな……!」
あたしはチアキに手を伸ばした。
その手は何にも触れることなく、チアキの体を通り抜けてしまった。