君と、ゆびきり
☆☆☆

夢の中の自分が悲鳴を上げた瞬間、目が覚めた。


鼓動が早く、ジットリと体に汗をかいている。


頭痛は治まっていたけれど、妙な夢を見たせいで気分は悪いままだった。


重たい体をノソリと起き上がらせて部屋の中を確認する。


あたしが戻って来たときと変化は見られない。


ホッと安堵のため息を吐き出した、その時だった。


外から物音が聞こえて来てあたしはビクリと身を震わせた。


さっきあんな夢を見たばかりだからか、敏感になっているようだ。


外は庭になっているのだから、誰かが歩いていたって不思議じゃない。


それなのに悪い予感が胸の中を支配し始める。


まるで、これからさっき見た夢と同じ事が起こるような気がしてならない。


あたしはそっと布団から抜け出してドアの方へと近づいた。


いざとなった時にすぐに逃げられるように身構える。
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