君と、ゆびきり
物音が聞こえて来てから少し経ってもなにも起きない。


やっぱりあたしの気にしすぎ……そう思って布団へ戻ろうとしたのだが、窓の外に人影が写り、動きを止めた。


息を殺してジッと影を見つめる。


影は部屋の前を行ったり来たりしていて、中の様子をうかがっているように見えた。


カーテンが引いてあるし部屋の中は電気もついていない。


だからこちらの影が向こうへ見える事はないハズなのだけれど、あたしはできるだけ屈んで身を小さくした。


影が行き来するのをジッと見ていると、影が手に何かを持ったのがわかった。


右手に持たれたソレをポンと投げてはキャッチするを数回繰り返している。


あれは……もしかして石?


夢で見た映像を今の出来事を結び付けてそう考える。


この後、夢の中では部屋の窓が割られたのだ。


だから、相手が今手に持っているのは庭にある石という可能性が高い。


あたしは自分でも気が付かない内にドアを開けていた。
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