君と、ゆびきり
制服を着て鏡の前に立ってみると、まさに制服に着られてしまっているあたしがいた。


「ま、最初はこんなもんだよね」


鏡の中の自分に言い聞かせるようにそう言い、カバンを手に持った。


机の上にはスマホのカタログが乱雑に置かれている。


高校に入学したらスマホを買ってもらえると約束していたので、昨日カタログを沢山貰ってきていたのだ。


どの機種にしようか、まだ決めかねている。


高校生なんだから、オシャレで可愛いスマホがいいな。


浮き足立つ気持ちのまま、あたしは部屋を出たのだった。
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