君と、ゆびきり
その中でも一番可愛いのはやっぱり赤だとあたしは思う。


だって、赤色って制服の定番カラーって感じ。


緑や青も可愛いと思うけれど、紺色に溶けてしまいそうだ。


「じゃあ、行ってらっしゃい」


体の採寸をするために1人で教室へ入ると、いろんな中学生たちでごった返していた。


まだまだ幼く小学生に見える子もいれば、バッチリメイクで大人に見える子もいる。


生まれたてのころはみんな大して差なんてないのに、15歳になるとここまで変わるんだ。


そう思い、ため息を吐き出した。


こんなことならリップくらいつけてくればよかった。


入学したら少しは化粧でもしなきゃな。


妙なライバル意識が湧いて来てそんな事を考えた時だった。


「ねぇ」


それが誰に向けられた言葉で、誰から発せられた言葉なのか、あたしは最初わからなかった。


「ねぇってば。ねぇ」


何度も繰り返される言葉にあたしは周囲を見回した。
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