君と、ゆびきり
真っ白な歯の奥から楽しげな笑い声が漏れてくる。


子供が笑っているだけなのに、その声はあたしの頭の中でグルグルと反響しはじめる。


気分の悪さに、思わずその場に両膝をついた。


ダメだ。


これじゃ家に帰れそうもない。


「ヒントを教えてあげるよ」


少女が楽しげな笑い声をあげながら、そう言った。


「ヒント……?」


「あたしの名前はチアキ。チアキだよ」


少女はそう言うと、その場からスッと消えていなくなってしまったのだった。
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