君と、ゆびきり
みんなとひとしきり遊んだあと、あたしは1人飲み物を買いに海の店へ向かっていた。


海の中と言っても太陽が照りつけている中で遊んだのだ。


あたしの喉はカラカラだった。


海の家に近づいてきた時だった。


ふと、視界の端に赤いワンピースを着た女の子が見えて、振り向いた。


小さな女の子は砂浜に1人で立ち、ジッとこちらを見ている。


あたしは周囲を見回して少女の保護者を探した。


しかし、それらしき人はどこにもいない。


少女は泣いているわけじゃないから、迷子じゃないのかもしれない。


もしかしたら近所の子で、1人で遊びに来ているのかも。


そう思うけれど、どうしてだか少女から視線を外す事ができなかった。


白い砂浜の上に立つ真っ赤なワンピースが印象的だったからかもしれない。


気が付けば、あたしは自分の喉の渇きなんて忘れて少女に近づいていた。


「こんなところで1人でどうしたの?」


身をかがめて少女に話かける。
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