君と、ゆびきり
その手にはあたしが昨日の夜に準備していた財布が握られている。


両親が寝静まったのを確認してから、こっそりリビングのテーブルに2人のプレゼントを置いておいたのだ。


これが我が家のクリスマスのスタイルになりつつある。


「この財布素敵ね! 今年のサンタクロースは趣味がいいわ」


「そうだね。あたしがもらったパジャマもなかなか可愛かったよ」


そう返事をすると、お母さんは自信満々の笑顔を浮かべた。


あくまでもサンタクロースという設定だけは崩さずにこのイベントを楽しむのだ。


「そういえば、千里にはクリスマスカードも届いてるわよ」


そう言って差し出されたのは毎年病院から送られてくるカードだった。


小学校6年生まで通院していたから、今だに色々なイベントの誘いを受けている。


元気になったあたしの姿を見ることで、元気になれる子たちがいるのも事実だった。


「今年はどうしようかな……」


あたしはサンタクロースのイラストが描いてあるカードを見つめてそう呟いた。


できれば元気な姿を見せてあげたい。
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