君と、ゆびきり
☆☆☆

「もう、大丈夫そうだね」


長年あたしの担当医をしていくれている先生がそう言ったので、あたしは自分の耳を疑った。


いま、なんて?


キョトンとして口をポカンと開けた状態で黙っていると、先生は優しい笑顔を浮かべた。


「もう、薬も通院も必要ないよ。今までよく頑張ったね」


そう言い、あたしの頭をポンポンと撫でる。


小学生の頃から先生によくされていたことだった。


「本当ですか!? よかったわね千里」


隣に座っていたお母さんが嬉しそうにあたしの手を握って来る。


痛いくらいに握りしめられて、あたしは顔をしかめた。


「もう、来なくていいってこと?」


あたしは先生にではなく、お母さんへ向けてそう聞いていた。


「そうよ。もう病院は卒業だって」


「そう……なんだ……」


突然そう言われても、なかなか整理がつかなかった。
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