君と、ゆびきり
「え? そうだっけ?」


玲子は首を傾げてあたしを見る。


「うん、なんか覚えがあるような気がするんだけど……」


そう言いながらもどんどん自信はなくなっていって、声は小さくなっていく。


ついさっき一瞬感じた違和感は今はすでにモヤのように輪郭を無くして行っている。


「気のせいなんじゃない?」


真弓にそう言われ、あたしは「そうだね」と返事をして苦笑いを浮かべたのだった。
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