拾われた猫。Ⅱ
◇◆◇◆◇



ふぅっと一息つく白銀の長い髪の美しい女性。



ベッドの上で上半身を起こして、資料を布団の上に置いた。




コンコンッとノックされた戸に、待ってましたというように顔を輝かせた。




「月<ツキ>姉様、入りますね」



戸から顔を覗かせたのは、彼女と同じ白銀の髪を短めに切った女性だった。



「どうぞ、結<ユイ>」



月と呼ばれる女性の横に近づく。




「赤木<アカギ>たちが帰ってきたのですが、〝香月雨〟という者は存在しないということです」



彼女の報告にシュンと顔を暗くした。



再び資料に目を落とすと、一枚の手紙を掬い上げる。



「けれど、菊からの報告が間違いだとは思えないの。

菊は私に嘘をつかないといけない理由がないもの」



その眼差しには強い光が灯っていた。


結と呼ばれる女性は、彼女の名前を呼びながら眉を下げた。



「あと…、もう少しだと予感しているの」



彼女の言葉に一点の曇りも無かった。



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