拾われた猫。Ⅱ
そんな時だった。
「土方さん」
私の横から声が上がる。
トシは表情を変えずに彼を見る。
「僕、最近ちょっと風邪気味みたいなんで、外してもらえない?
代わりに一くんが行くとかはどうです?」
苦笑を浮かべて、総司は珍しく出陣を断る。
トシも目を見開きながらも、一の方を見ると彼がコクリと頷いたので、肯定ととる。
「じゃあ総司と変わって、斎藤が行く。
それでいいな?
他に変更は?」
騒ぐ隊士たちを軽く威圧するような声は、その場を凍らせた。
「変更が無ぇなら終わりだ。
仕事に戻れ」
個々の耳にどう届いたのか、そそくさと大広間を出て行く隊士たち。
「さすが鬼の副長」
左之が隣でボソリと言った言葉にフッと吹き出す。