拾われた猫。Ⅱ
着いた先は道場の裏側だった。
気配を消して、建物の影からそっと覗く。
「ゴホッゴホゴホッ……ゴホッ……ガハッ…!」
苦しそうに壁に手を付き、前のめりになっていた。
地面にはポタポタと血が垂れていた。
「総司…!」
見ていられずに、その背中に追いつく。
肩で息をしながら、顔をゆっくりと上に上げる。
「雨…ちゃん…………、何でいるの?」
作り笑いをする余裕もないのか、冷たく睨みつける。
その瞳の奥には怯えが少しずつ見え隠れする。
「苦しいんでしょ?
今、誰かを……」
動き出そうとする私の腕を掴んだ。
力強い腕に私の言葉は止まり、振り払うことも躊躇わせた。
「誰にも言わないで…」
縋りつくような声に、表情。