拾われた猫。Ⅱ
「…僕にとって刀は生きる意味なんだ。
戦うことでしか価値を見いだせない。
……病気を知ったら、近藤さんは僕を置いていく…」
弱々しく頑固な彼は、両の手をギュッと握った。
彼の様子をただぼーっと見ているしか出来なくて、相槌を打つことすら忘れていた。
「君はさ…、賢い子だよね」
「……なにそれ」
怪訝な顔を見せると、総司はいつものようにクスリと笑った。
「今の状況でも、何が一番正解なのか理解出来てるでしょ?」
ピクリと反応した眉間。
動揺を抑えながらもコクリと頷く。
「でも、僕のこともよく分かってる。
…雨ちゃんは優しいから、…………同情してくれる…」
いつものように笑ってるはずなのに、彼の纏う雰囲気が今にも彼を攫いそうに思えた。
彼が欲しいのは…、きっとそういうのではない。
私がしてあげたいと思うことも、そういうのではない。