拾われた猫。Ⅱ
総司の腕がふいに私を包み込んだ。
彼に体重を預ける形になる体勢に、少しもがく。
「じっとして」
耳元で囁かれて、擽ったさと羞恥を覚える。
総司の言葉に従って、もがくのを止めると上から笑い声が漏れた。
「温かい…。
……皆に言ってもいいよ」
「え…?」
さっきとは真反対の言葉が返ってきた。
真意が知りたくて、彼の顔を見ようと上を向く。
そこには穏やかで悲しい笑顔があった。
「雨ちゃんがずっと僕の側にいてくれるなら、刀を振るえなくてもいいと思ってるよ」
はっきりと聞こえた声に、頭が追いついていかなかった。
「僕の中で一番大事だった。
……雨ちゃんと会うまでは」
緩んだ腕、頬に掛かる手、優しい温かさ。
「僕と生きてよ、雨ちゃん」
悲しい悲しい笑顔に手を伸ばす。