拾われた猫。Ⅱ
総司の頬をグニッと掴む。
「何甘えてんの?」
きょとんとする阿呆面に精一杯の睨みを返す。
「私の好きなものが無くなるのは許せない」
「…それって……?」
「前にも言った。
あんたの余裕そうな作り笑いが結構好きなんだよって。
だからそれを奪うならあんたでも許さない」
総司の頬から手を離して、手を払い除けると立ち上がって上から見下ろす。
「皆には言わないし、小さな約束に縋らなくてもいい。
あんたを置いて行ったりしないし、労咳だって私が何とかする」
宛がある。
そういうわけじゃない。
でも、今なら……今ならあの男に頼れるかもしれない。
「何とかって?
医者にかかっても無駄だよ」
「それでも何とかする」
もう……大事な誰かが死ぬのは嫌だ。