拾われた猫。Ⅱ
「ねぇ、雨ちゃん」
総司は顔を下に向けながら、私の名前を呼んだ。
「左之さんが好き?」
2回目の問いかけ。
初めはただの挑発でそう聞かれた。
2回目は縋るようだった。
「……好きとか、まだ分からない」
そんな言葉で、総司が納得してくれるとは思わなかった。
でもそんな予想とは裏腹に、「そっか…」と立ち上がった。
そこからは一言も話すことなく、私たちは各々の場所に戻った。
トシの部屋に行くと、「遅い」と言って怒られたので、「何もすることないじゃん」と屁理屈を返した。
「……ねぇ」
「なんだ?」
「好き…」
私の問いかけに、バキッという音が聞こえて、トシの方を見ると筆が真っ二つに割れていた。